SBSがスパムに利用されている件について

 最近MixClipという、はてなブックマークBuzzurlなどのさまざまなソーシャルブックマーキングサービス(SBS)を統合して、人気のエントリーやサイトを表示するサービスを愛用している。これさえ見れば他のSBSを見る必要がないんだから。ただ、ここ最近、MixClipの表示がおかしい。
 たとえば昨日のMixClipのランキングを見てみよう。ランキングの多くがエロになってしまっている。MixClipの下の方を見てみると、各SBSのランキングが見られるのだが、どうやらニフティクリップβを中心にエロサイトが上がっているようだ。
 本来ニフティクリップはてなやBussurl等に比べると規模が小さいのだが、このMixClipはその規模を多少考慮してランキングしているために、ニフティクリップで多少ブクマを集めるとたちまち全体ランキングでも上位になってしまうのだ。
 これまでのランキングの性格からして、あの程度のエロ記事でこうまで注目されるとは思えない。おそらく複数アカウントを用いて、ブクマしまくっているのだろう。そして狙いはおそらくニフティクリップでのランキング入りよりも、

  1. MixClipのようにより大きい(と思われる)サイトに取り上げられること
  2. 最近はブログへのトラックバックによるバックリンクの評価点が下がった&トラックバックスパム対策が練られてきたために新たなインバウンドリンクでの裏SEO対策代わり
  3. (このエントリーへのBuzzurlのコメントを見て追記)各SBSのRSSフィードを登録しているユーザに配信されること

 という2点を狙ってアクセスアップを図っているものと思われる。(もっとも、①については、別により大きくなくてもいい。マッシュアップサービスによっていろんなサイトでリンクが張られるだけでもよい)
 これはSBSの根幹を揺るがす由々しき問題だ。ああいう本来取り上げられるべきサイトで無いものがランキングになること自体も問題だが、何より問題はそれを止めるすべが無いことだ。
 なぜなら、たとえエロだろうとSBSは本当に有用なものであればランキングに乗るべきだからだ。人力でいいと思ったものを取り上げるのが、SBSのいいところであり、そこに検索エンジンのように評価関数を導入することは本来すべきで無いからだ。
 また、たとえある程度のフィルタリングをするとしても、それはMixClipを作る程度の個人的あるいは小規模のサイトであれば、すべてをフィルタリングすることは不可能だからだ。Googleと比較するのは少しバカらしいが、Googleだってコンピュータ・アルゴリズムだけですべてフィルタリングしているわけではない、大人数(10000人規模とも言われている)の稼動をかけて、パラメータの微調整等を行っているのだ。それを100分の1の規模でもやれとは言えない。
 これはSBSだけの問題ではなく、CGMサイトやCGMサイトAPIを用いたマッシュアップサービス全般に言えることだ。多くのこれらのサイトは人間の稼動をかけていない。少人数の情熱を持った人たちが一生懸命作ったものだ。それに対して大人数をかけて微調整しろなんていったらその情熱も消えうせる。
 このままでははてな等のある程度の規模を持ったところしか残れない。いや、いずれはどんなサービスだって一極化するのかも知れないが、現段階では早すぎるし、下手すればSBSが捨てられるかもしれないし(それならその程度のサービスだったんだという意見もあるかもしれないが)、SBSは今のところサイトにより動画がランキングしやすかったり、ビジネスよりのものがランキングしやすかったりと癖がある。そうした中で規模の大きいはてな等だけを見ろというのはあまりにもったいない。MixClipのように少数が評価するのをうまく救ってくれるサービスというのは非常にありがたいものなのだ。
 こうした少数の意見を吸い上げるサービスは、そこがいいところでもあり、そこが最大の弱点でもある。今後の動向を注視して、どちらの流れに向かうのか見てみたい。場合によってはWeb2.0(この言葉は大嫌いだが)の代名詞ともいえる「マッシュアップ」は過去のものになるのかもしれない。

(というかBuzzurlって"Buzz(〈人が〉がやがや言う,うわさする.)と"URL"をあわせたことに気付く。いいセンスしてるやん。)