「ゴースト・ドッグ」 1999年 アメリカ、ドイツ、フランス、日本

B002HMLE0Yゴースト・ドッグ [DVD]
パラマウント ホーム エンタテインメント ジャパン 2009-09-25

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 ジム・ジャームッシュ監督が日本の武士道の書"葉隠"をもとに、ひとりの黒人の殺し屋の物語を描いた作品だ。ジム・ジャームッシュは本当に独特な監督で、表現しづらい。一言でいうならば、詩的。映像が美しく、時間の流れがゆっくりしていて、じっと画面を見つめさせる。はまったときにはこの上ない作品となるが、はまらなければ苦痛の2時間となる。そんな監督。
 そして主演の殺し屋にはフォレスト・ウィテカープラトーンクライング・ゲーム、スモークなどのいい作品にそっと出演していながらも、印象に残る役者だ。とても優しい顔で、大柄な体型も手伝ってとても懐が深そうな人だ。そんな大柄なこの人が一流の殺し屋を演じる。片手には"葉隠"をもって。
 日本の武士道は遠く離れた地でブシドーとして受け継がれ、それを体現した一匹狼なサムライがアメリカにいた。


 あらすじ
 ゴースト・ドッグ(フォレスト・ウィテカー)は、その昔、イタリア系マフィアのルーイに命を助けられた恩を感じ、ルーイの殺し屋となる。殺し屋ではあるものの、見てくれは至って優しい雰囲気で、黒人街で普通に生活し、街の黒人たちとも触れ合い、フランス人が売っているアイスクリームを愛す。
 ある日、いつもの通りにルーイの指示を受け、一人のマフィアを殺したが、そのマフィアを殺すように命じたルーイのボスが、ゴースト・ドッグも殺せと命令を下した。ルーイはボスに抵抗するが、やむなく引き下がるしかなかった。
 身の危険を感じたゴースト・ドッグはルーイのボス達から逃れるが、自分が逃げればルーイの命も危なくなると知り、ルーイの命も助けるためにボスたちに戦を仕掛けることを決意する。
 <ここからネタバレの可能性あり!!>
 ゴースト・ドッグの武士道が素晴らしい。最後にルーイのボスたちを全員殺すことに成功するが、ルーイ自身も古い人間であり、ボスに忠義を誓った人間であることをわかっているので、ゴースト・ドッグは全く抵抗することなく、殺されることを受け入れる。あくまでゴースト・ドッグはルーイに忠義を尽くしたというところがいい。
 そして、あのアイスクリーム屋との掛け合い。お互いに言葉が分からないといいつつも、微妙に噛み合っている。わかりあえているというのが面白い。
 ジム・ジャームッシュの中でもとても印象に残るいい作品だ。