伝播委任システムの導入プロセスについて考えてみた
先日のweb学会で面白かった「伝播委任システム」について、勝手に導入プロセスを考えてみた。Stepごとの導入時期を漠然と考えると30年ぐらいは掛かりそうかなと。まぁ民主主義の根幹部分を変更しようとしてるんだからそれぐらいはかかるよね。
伝播委任システムに必要な概念
- 分人民主主義
- 直接民主制
- 委任制度
- リアルタイム性
上記4つが概念としてあり、それを支える技術としてインターネットがある。
分人性を実現するためには、個々人が1票を割って投票することになる*1。集計するコストがこれまでとは桁違いに跳ね上がるので、インターネットを活用してシステム組んで自動で計算できるようにしなければならない。
直接民主制を実現するためには、人々が議論できる場が存在しなければならない。人口1億超の日本が議論出来る場はリアルには存在しえない。したがって議論出来る場をインターネット上で提供しなければならないし、提供できる。
委任制度とは自分の投票権のうち、一部または全部を誰かに委任すること。そして委任を受けた人の投票活動に乗っかること。直接民主制と相反しそうだが、国が抱える問題についてのすべての選挙について考えて投票行動を起こすのは事実上不可能だから、委任制度というものが必要なのだと考えてます。ちがったらご指摘ください。
リアルタイム性を実現するためには、今、自分がどこに票を入れたのかがすぐに反映されること、入れた票を一旦戻して別の案に投票するという入れなおしができなければならない。今は入れた票は時間がたってから集計されるし、一旦入れた票は戻せない。もっとも、期日を待たずに集計し始めたり、票を戻すのもできるかもしれないが、やはりコストはどうしてもかかってしまう。これもインターネットであれば、リアルタイムに反映されるのが確認できる。
Step1. インターネット上での選挙活動の解禁(2年以内)
とにかくまずはこれ。最も実現可能性が高く、すぐにできるし、リスクも無い。導入コストも下がる可能性が高い。
そして、「選挙とネット」は相反するものではない、これからネットを活用するというメッセージが国民につながるし、新聞離れ・テレビ離れと言われて久しい若者に政治ニュースがリーチできる。
Step2. インターネット投票制度の解禁(+4年以内)
Step2が少しハードル高い。でもネット上での選挙活動になれたら、次は投票もネットですまそうとするのは自然な流れ。
もしかしたら、参院・衆院選挙前にどこかの知事選か、政令指定都市レベルの市長選あたりで実験する必要があるかもしれない。
ただし、ネット投票に移行することはないと思う。あくまで併用。
Step3. 分人性の導入(+4年以内)
インターネット投票ができれば、分人性を実現するのは容易だ。1票をまずは10票ぐらいにざっくり割って投票できるようにする。
注意としてはまだ間接民主制であること。間接分人民主主義
Step4. 間接民主制から直接民主制への移行(+10年以内)
ここが最難関。なぜなら、間接民主制から直接民主制に代えれば、議員という存在が(究極的には)なくなるにも関わらず、直接民主制を立法するのはその議員だから。自らリストラする法案を上げなければいけないという矛盾が存在するのだ。
したがって、直接民主制に移行後の議員のあり方について議論をしなければならない。直接民主制に移行すれば、法案の原案は国民自らが投稿して行くことになるが、それを法案レベルまできっちりとまとめ上げる、他の法との矛盾がないか、制度的に問題がないかを調査し、関係省庁との調整もしなければならないので、そういう法案制作集団として今後は生きていかなければならないのではないかと思う。*2
Step4'. 憲法改正で実験的直接分人民主主義?
Step4にいきなり移行するのは難しいから、もしかしたらすでに直接民主的なプロセスが組まれている、憲法改正時に導入するのもいいかもしれないと思った。
国民選挙こそが直接民主主義であり、憲法改正には国民選挙が必須なので。
あるいは、一度国にとって最重要と思われる事案に限り、直接分人民主主義制度をとるという法案を作るのもいいかもしれない。段階的に直接民主制を導入し、議員の数を減らしていく。
Step5. 委任制度の導入(+4年以内)
Step4により、国民選挙の数がどんどん増えてくると、国民の負担が大きくなってくる。
ここで委任制度を導入することで、自らが投票したい選挙以外の負担を減らせる。その委任する相手がメディアなのかアルファブロガーなのか、議員なのかはわからない。あるいは、この時に数万レベルで委任された人を国が雇用し、議員とするのもいいかもしれない。