「ワールド・トレード・センター」 2006年 アメリカ

B000HXDHBEワールド・トレード・センター スペシャル・コレクターズ・エディション [DVD]
アンドレア・バーロフ
パラマウント・ホーム・エンタテインメント・ジャパン 2007-02-23

by G-Tools

 911が起きたのは俺が大学1年生の時だった。テレビで流れるWTCから煙が出ているさまは見ていて現実とは思えなかった。ビン・ラディン一派が引き起こしたテロ攻撃はなぜか大量破壊兵器、打倒フセインにすり替わって戦争に突入してしまった。この頃からアメリカに対して一定の距離を置いて冷静に見るようになった気がする。
 その1年後に俺はNYに旅行をしたのだけど、まだまだNYは911の傷跡が生々しく残っていた。WTCは更地になり、自由の女神は中に入れず、ニューヨーク証券取引所も中を見ることはできない。街のフェンスには平和を願うメッセージがくくりつけられていた。ニューヨークはまだ被災地なんだなといやでも意識させられたものだ。
 本作では戦争はさておき、被災状態のときの人のつながりを描いている。途中で「これから戦争だ、復讐してやる」っていうセリフがあって、ここだけが俺の嫌なアメリカを意識させるが、それ以外は至って災害時の人のつながりだけを描いた映画となっている。
 阪神大震災を経験した身としては、この災害時の人の使命感の強さというものがわかる。本作でもウィスコンシンからいても立ってもいられなくてやってくる警官が描かれているが、阪神大震災のときもそうだった。人は利害だけでは動かない、使命感と言うものを人は備わっていることがわかった。本作も同様に人々が使命感によって人々を助けなければと突き進むさまが描かれている。