「イビサ」 1995年

4061859331イビサ (講談社文庫)
講談社 1995-04

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 久々に本を読んだ。いや、読み切った気がする。またしても村上龍に戻ってしまった。
 本作も相変わらずセックスとドラッグと暴力に文字通り塗れた話しだ。ヘロイン吸って乱交してレズプレイをして、人が血を流して死ぬ。これが村上龍だ。
 でもいつもと違うことは、限りなくスピリチュアルな点だろうか。いや、これまでもコインロッカー・ベイビーズのキク(ハシ?)や5分後の世界のピアニスト、あるいはイン・ザ・ミソズープのあの外人のように、人々の心に突き刺さるようなメッセージを繰り出すということは、あったが、本作では明確に「言語波」「オーラ」「ウェーブ」と語られているし、ヘロインを打っているとはいえ幽霊が出てくる。
 で、最後だ。最後は相変わらずやってくれるね。「えぇっ!?えぇーーーー!」っていう急展開。これを読むことは誰にもできないよ(笑)でもあの突き抜けたスピード感、状態は窮屈なのに開放感を感じさせる主人公。いやぁー、不思議な話だったけど面白かった。