全力で文学少年

 朝起きると、晴天!晴天!インドア派代表の俺でも、流石に外に出たくなる。
 家事をさっさと終わらせて、原付飛ばして二子玉に走る。間違いなく、今日は散歩日和だ!
 飯を買って、河原で食べようとするもここらってテイクアウトできるいいものが無いんですよね。とりあえずケンタでたらふく飯を買って、河原へ向かう(ほんとはモスがあればなぁ←あまり変わらない)。
 原付を止めて、右手にケンタが入ったビニールを持っていい場所を探す。探すといいつつ、心の中では決まっていた。この時間であれば草野球をやってるはずだ。どこの誰だか、何歳なのか、対戦相手はどんな関係なのか、まったく分からない。でもだからこそ純粋に野球が見れたりもする。そんな野球を見たくなったのだ。
 プロ野球であればプレミアが付くであろうバックネット裏も、今日は俺の特等席である。ケンタをビニールから出して、目の前に繰り広げる。さながらディナーの前のあの目の前に食べ物が陳列されたときに感じる高揚感を感じながら、野球を観戦して、貪り食う。野球はどっちが勝ったかも分からないが、それぐらいどちらのチームも楽しそうで、純粋にスポーツを楽しんでいる。いいなぁ。この雰囲気。


 ケンタも平らげ、野球もちょうど終わったところで場所替えタイム。芝生を踏みしめてその間食を靴裏に感じ、その芝生の上を跳ねるサッカーボールやら軟球が跳ねるその様と空の青さのコントラストを目で感じ、踏みつけられて発散するその草の香りと秋の空気とを鼻に感じ、試合を楽しむ歓声やまだ立つのがやっとの子供がその場で作った歌を耳に感じ、脂っこいケンタのその余韻を舌に感じながら、野球を終えて人気がなくった一塁ベンチに座って、昨日買った三島の「金閣寺 (新潮文庫)」を読んだ。もっと爽やかな小説を買っていたらなぁという若干の後悔の念を抱きながら。


 外で、それもお店のオープンテラスなんかではなく本当に外で本をじっくり読むのは始めてだったが、なんて幸せな時間だったろうと思う。しばらくすると寒くなって外で読むのは自殺行為になってしまうが(笑)、また春になったら外で本を読みたいなぁ。