「ゆれる」 2006年 日本
- 出版社/メーカー: バンダイビジュアル
- 発売日: 2007/02/23
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邦画嫌いの俺に対して、みんなが薦めるこの「ゆれる」。確かに凄かった。というか、俺の好きな香川照之が本気でやばい。オダギリジョーもこの映画はよかった。
正直、この映画を観た直後は「うん?」って思った。でもこの映画は何か心に残る気がしている。なんとも言えない雰囲気とストーリー。そしてそれを支える俳優陣。そのバランスがいいからこう感じるのだろう。
あらすじ
自由気ままに生きて写真家として成功した早川猛(オダギリ・ジョー)、家族のため自分を殺し家業を継ぎ、周りから熱い信頼をおかれる兄、稔(香川照之)。母の一周忌で実家に戻った猛は久々に近所の幼馴染の智恵子に出会う。
兄と智恵子の微妙な関係に気付きながらも、猛は自分に好意の視線を向ける智恵子を抱く。しかしそのすぐに彼女のように振舞う智恵子から無常にも逃げ出す。
翌日、猛と稔と智恵子は3人でなつかしの渓谷へドライブする。智恵子から距離を置こうとする猛、追いかける智恵子、智恵子を追いかける稔。智恵子と稔が渓谷にかかるつり橋にかかったとき、事件は起こる。智恵子が橋から落ちたのだ。
事故として処理された事件。しかし稔は突如、自責の念に耐えかねたのか殺したと自白する。
果たして真相は?すべては猛と稔だけが知っている。兄弟・親子・罪悪感の間で「ゆれる」猛は…
<ここからネタバレの可能性あり!!>
正直、この映画は何も真相を語らない。殺意はあったのか、猛と智恵子の関係は、その関係に稔は気付いていたのか、そして最後の稔の笑みは何を意味しているのか。
特にもっとも大事である「殺意があったのか」、猛はすべてを見ている。でも猛は智恵子との関係からか、さらにそれに稔がそれに気づいているのかという疑念で「ゆれている」ためか、猛自身もわからなくなってしまっている。
それは稔自身もそうなのだ。すべてをさらけ出される法廷で、おじであり弁護士でもある早川修からは法廷用のセリフを吐かされる。もともと衝動的なものだったのだ。記憶が「ゆれて」、本人ですらそのセリフを真実と危うく取り違いかける。
刑務所に入り、自分の鬱積を吐き出す稔。智恵子と稔に対する罪悪感からか、兄弟愛からかすべてを支えようとしていた猛は衝撃を受ける。明らかに兄は限界を迎えていた。この演技は香川じゃないと表現できないだろう。
わからないところが、この映画のいいところであり、また悪いところでもある…なんともいえない映画だ。