日本のCMも変わった〜比較広告〜

 最近観たCMの中で印象に残ったのが、東京ガスのCM。今までの日本には無いくらいライバルを連想させるCMですよね。アメリカとかでは良くあるいわゆる「比較広告」ってやつです。
 それは東京ガスのCM一覧の中の"ぴピッとコンロ+do"シリーズのCMです。

 始まりは「オール電化にした人は気にしないでください。」から始まるわけです。普通はこういうのは東京電気とかがやりそうな始まり方ですよ。でもバックにはガスコンロに日をつける音がする。
 その後はガスコンロで料理をしていて、「本物の炎で…」を連呼する。で、ここからですよ、「本物の炎をじゃなくてどうやって料理するんだろ?」「最近あるじゃん」「あぁ、アレねー」
 「アレ」って濁してるけど、冒頭で「オール電化」って言ってるわけだから観てる人はわかる訳で。なかなか日本のCMでライバル他社の製品を持ち出すってないですよね。しかも本物の炎じゃないことを暗にバカにしてるわけです。
 日本では他社を否定するのは視聴者の印象が悪くなるということからなかなか普及しなかったけど、アメリカとかでは「内の商品は、ライバルの○社のよりも安くてうまい!」なんていいながら、ライバル商品と並べて画面に出したりするんですよ。そりゃ露骨です。
 <追記>なんかいい比較広告のCMないかなーと思っていたけど、いいのを思い出したので貼り付けます。ビル・ゲイツに見立てたサラリーマン風の男と、ラフな格好の男(サラリーマンをWindows、ラフなほうをMacに見立てている)が出てきて、「僕らはお互いに仲良し」的なことを言っていると、日本人の女性(日本製のデジカメに見立ててる)がやってきて…というCM。めっちゃおもろい。

 他にもMacのCMは面白いので一覧にリンクを張っときます
 もっと日本でも比較広告をすべき!基本的にCMなんてのは自分の商品のいいところしか見せないわけですから、商品のマイナス点を言えるのはライバル会社だけ。だから悪いところは普通一般消費者にはわかり得ないわけです。でも本当はそういうところまで含めたすべてを知った上で商品を選びたいわけです。だから比較広告で「ライバル社のあの商品はここが悪い!内は良い!」ってのを一般消費者に伝えることは非常に大事だと思います。
 東京ガスのこのCMはそういう意味でやってのけたことは良かったと思います。ただし、その争点が「本物の炎である」というだけじゃちょっと弱い…もっと「火力に差がある」「あったまるまで時間がかかる」「火を消しても熱が残る」だの直接的な単語が出てくれば本物ですね。
 でもタブーとされてきた比較広告が出てきた理由はなんなんだろう?そこには2つの理由があると思います。
 一つ目はネットの力じゃないかと思う。今は新しい商品を出したときに、ブログ上で「アレは良い」「これは悪い」なんていう批評がすぐ出てくるので、一般消費者が今までの良い部分だけの評価だけじゃなく、悪い部分の評価も重要視するようになった。またより直接的に比較.comのようなサイトも受け入れられている。
 二つ目はそれだけ東京ガスが厳しい立場におかれているということ。オール電化とガスコンロのシェア比を調べたかったけどなかなか見つからず…でもIHで5割、ガスで3割みたいな数字があった。本当かどうかさっぱりわからんが。おそらくだが東京ガスとしては自分の商品に対して自信があり、東京ガス側がはじく本来あるべきシェア比というのがあるはずだ、でもそれを大きく下回っている現状があるからタブーとされている比較広告に乗り出したのではと思う。
 比較広告は下手すると非常に危険で、逆に商品のいいところが見えなくなる可能性がある。さらに最悪なのはもう、商品の性能がどうのこうのじゃなくてイメージ的に悪そうなんていう広告を出すこと。
 そんなことにならない限りで、もっと直接的で一般消費者にわかりやすい比較広告。待ってます。