「25時」 2002年 アメリカ

B000N4RAV025時【廉価2500円版】 [DVD]
デイヴィッド・ベニオフ
アスミック 2007-03-02

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今回紹介する映画は「25時」。この映画の主演はエドワード・ノートンです!彼の演技力は素晴らしく、デビュー作の"真実の行方 " からすでに一流の演技力を持っていました(この映画にでるのも、2100人という人数の中からオーディションで勝ち抜いたということからも演技力のすごさ、カリスマ性がわかる)。しかもこのデビュー作で完全に主役のリチャード・ギアを喰ってしまい、アカデミー賞助演男優賞にノミネートされる!その後の"アメリカン・ヒストリーX "や"ファイト・クラブ"でも怪演を魅せました。

そのエドワード・ノートンが主演の上、さらにスパイク・リーが監督をつとめています。スパイク・リーも好きな監督の一人で、"ドゥ・ザ・ライト・シング "や"モ’・ベター・ブルース"なんかがものすごく好きです。

また、脇役にフィリップ・シーモア・ホフマン("ブギーナイツ"、"ハピネス")が出てるんです!彼は時にホモ役、時には変態、いつもイジイジと暗い役をやってる変り種の俳優です。

そしてもう一人の脇役にバリー・ペッパー("プライベート・ライアン"、"グリーンマイル")が出ています。彼はいつも脇役ながら印象を残すいい俳優ですよね。もう監督から主演、脇役まで曲者ぞろいの映画とあって楽しみでした!もちろんおもしろかったです!

 あらすじ 
 モンティーには24時間しか残っていない。なぜならあと24時間で刑務所に入らなければならないからだ。麻薬のディーラーとして生活していたがついに逮捕されてしまったのだ。
 モンティーが逮捕されたのは誰かに密告された可能性が高い。しかもその密告者は最愛の恋人ナチュレルかもしれない。モンティーの幼馴染だったジェイコブ(フィリップ・シーモア・ホフマン)とフランク(バリー・ペッパー)はモンティーの最後の夜だと言うことで盛大に祝おうとする。
 モンティーの父親はモンティーに対して申し訳なく思っている。モンティーは優秀な子供だったにもかかわらず、麻薬のディーラーになってしまった。それは自分の性であると思っている。
 モンティーはロシアのマフィアとも決別し、愛犬をジェイコブに預け、フランクに出所するまで後を任せようとする。
 しかし、フランクはつらい現実を知っていた、モンティーのようにハンサムな白人が刑務所でどう扱われるかを。間違いなく黒人に狙われることを、暴行を受け、レイプされ、殺されることを。しかしフランクはモンティーがそのことに気づいているはずと思っている。そしてそんなモンティーに残された道は3つしかないと知る。
 それは、"服役"か、"逃亡"か、それか"自殺"であることを…

 <ここからネタバレ!!>
 やっぱりエドワード・ノートンはいいね!あの鏡に映る自分に向かってFuck!と言うシーンはマジで悶絶モノだった!あのシーンはかっこよすぎ!まさにスパイク・リーエドワード・ノートンのコラボレーション!ああいう、人種差別的発言を繰り返すそっくりなシーンが"ドゥ・ザ・ライト・シング [DVD]"にもありましたね!あれも良かったけど、やっぱりエドワード・ノートンがやると一味違う感じがします。
 あと、フィリップ・シーモア・ホフマンやっぱり彼はやってくれましたね。女子高生に対してモンモンとした気持ち。そしてその変態ぶり。DJの名前なんか知らないのに"彼は初期の方がいいね"なんて、10代のDJの初期っていつだよ?ってな発言をしちゃうところ。その表現の仕方もなんかクラシックか絵の批評みたいですよね。そしてキスをしちゃった後のあわてぶり。いやー、彼らしいキャラでしたね。ジェイコブの役にぴったりでした。
 バリー・ペッパーに対する僕の評価は確実に上がりましたね。クールで、自信過剰で、自己中。彼のそんな役どころを見たことがなかったので、新鮮でした。むしろこっちのほうが合うかもしれない。そして最後にエドワード・ノートンと殴りあうシーン!本当に悲しそうに、やけになりながら殴り続ける。彼はああいう悲しい演技が似合うなと思いました。評価が上がったということと、評価が"変わった"ともいえるかな。今後注目。
 そしてラストシーン。父親の息子に対する思い。父親の店でご飯を食べるシーンで語られたが、父親は息子に対して申し訳ない気持ちでいっぱいだ。父親らしいことが何もできなかった。息子が優秀に育ったにもかかわらず、彼がディーラーになることを止めることができなかった。だからせめて刑務所に送るときは自分で見送りたかった。ラストシーンは彼が逃げるシーンだ。このシーンにジーンと来てしまった。父親と別れ、ひっそりと暮らし、するとナチュレルがやってくる。彼はやがて老い、息子も大人になる。そのときに過去を話す…すると突然、僕ら観客は現実に引き戻される。あのショックは強烈だった。本気で悲しかった。結局あの妄想は、普通に見ればモンティーの妄想に思えるけど、モンティーの妄想なのか?父親の妄想なのか?そもそも妄想なのか?それすらわからない気がする。なんともいえないラストシーンだった。
 結局はまってしまって、原作の本まで買ってしまった。脚本家と原作の作家がいっしょと言うこともあって、本当に似ていたね。でもおもしろかった。これは決して売れる映画ではないかもしれないけど、名作!