「カールじいさんの空飛ぶ家」 2009年 アメリカ

カールじいさんの空飛ぶ家 公式サイト
 pixarの映画はトイ・ストーリー以来見ていなかったんだけど、いつも予告編で見るあの映像の美しさには驚いていました。とはいえなかなかアニメってのは見に行きにくいもので。でも、本作は子供向けの映像の割にテーマとかキャッチコピーが暗いんですよね。そこに惹かれて観に行ってみたら面白かった!
 前評判でも言われているけど、開始10分程度で、カールおじさんとその妻エリーの回想シーンがあるのですが、これまたもの悲しい。これだけでも短編映画として成り立ちそうなぐらい。そしてその物悲しい回想シーンをベースに大冒険が始まる。そのギャップがいいというか、子どもに観せたくなるような明るいテーマに持っていくんですよね。
 pixarの映画は出てくるキャラクターがそれぞれ個性を持っていて、感情移入しやすくていいですね。なので映画にのめり込める。いい映画でした。


 あらすじ
 カールは子どもの頃、大冒険家マンツにあこがれ、自身も大冒険をしたいと夢見る少年だったが、いつもひとりぼっちで寂しく過ごしていた。そんなカールに対して、同じくマンツがすきで大冒険を夢見ていた少女エリーは、その積極さでカールと友達になりたがり、一緒に遊ぶようになる。そして二人は夢を観たままついに結婚する。二人は夢をみたまま過ごしていくが、夢をみたままおばあさんになったエリーは死んでしまう。
 近所は土地の再開発で昔の景色はない。親戚もいない。いっそ、昔夢見た大冒険、伝説の滝を目指してみようと大量の風船をふくらませて出発するが…
 <ここからネタバレの可能性あり!!>
 いやー、伝説の滝があんなにあっさり見つかるとは(笑) 目的がこんなに簡単に代わるストーリーってのもすごいですよね(笑)
 テーマとしては、過去にとらわれず、新しい未来に挑戦して行こう!という子どもに向けたポジティブなものですよね。カールは過去の象徴である家に対して執着し、過去の栄光である滝に向けて家を引きずっていくという苦行とも思えるような行動をとる。それに対して子どもは無邪気で友を愛す一方、友よりも古いものにとらわれるカールを嫌いになったりもする。ここらへんが象徴的だなぁと。
 何も考えずにハッピーになれるのがいいですね。逆に考えだすといろいろ思うところはあるもので。たとえばマンツが鳥を捕まえたがること自体はそんな悪いことじゃないだろとか、敵のほとんどはやられてもパラシュートとかで助かってるのにマンツはあれ死んだだろ。それはひどすぎじゃね?とかね(笑) まぁ、些末な事だけどね。