「ベンジャミン・バトン」 2008年 アメリカ

B001P3POX4ベンジャミン・バトン 数奇な人生 特別版(2枚組) [DVD]
ブラッド・ピット, ケイト・ブランシェット, タラジ・P・ヘンソン, ジュリア・オーモンド, デビッド・フィンチャー
ワーナー・ホーム・ビデオ 2009-07-15

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『ベンジャミン・バトン』オフィシャルサイト
 いやね、これは面白いですよ。マジで。
 監督はデビット・フィンチャー、主演はブラット・ピット。そう、ファイト・クラブやセブンのコンビである。そしてヒロイン役にケイト・ブランシェット!この映画のケイト・ブランシェットは半端ねぇ。この人を観るためだけに観てもいいと思えるぐらい。
 「老人の状態の赤ちゃんが、年を取るごとに若くなる」っていう設定がいかにも胡散臭いが、そんなもんはどうでもいいんですよ。宣伝がアホみたいに強調するから変になるだけで、そんなものは吹っ飛ぶだけの面白いストーリーがみっちりと詰まっています。必見!

 あらすじ
 しわくちゃで白内障とまるで老人のような状態で生まれたがために、老人ホームに捨てられたベンジャミン・バトン(ブラッド・ピット)。月日が経つにつれ、背筋は伸び、目が見えるようになる。そう、だんだんと若返って来ているのだ。
 老人ホームで育つベンジャミン。当然ながら、何度も死を目撃する。死が当然であり、人々との付き合いも短い。そんななか、老人ホームで開かれたパーティーでデイジーケイト・ブランシェット)という娘に一目惚れする。
 やがて、自立できるほど成長したベンジャミンは世界を見るために施設をでることにするが…

 <ここからネタバレの可能性あり!!>
 もう、一つ一つのエピソードがきれいで味があるんですよ。ロシアでの不倫恋愛の話とかこれだけで短編映画として成り立ちそうなぐらいおしゃれである。こういう小さいエピソードを積み上げて行く映画が結構すきなんですよ。「ショーシャンクの空に」とかね。
 でも、「老人の状態の赤ちゃんが、年を取るごとに若くなる」っていうことばっかり強調するもんだから、なんか胡散臭い雰囲気がしてしまっているけど、はっきり言って、そんなのはどうでもいい。そんなのは、このすばらしいストーリーをさらに面白くさせるスパイスにすぎないんだよ。ということで、この映画は宣伝がミスリードしていなければ、もっともっと売れたし評価された映画なんじゃないかと思う。
 エピソード単位で観たときに、そのエピソード内でベンジャミンは観てわかるほど年を取らないんですよ。だから、正しい年齢順に並べたって実は話の筋は通るんです。デイジーとの関係だって、別に二人で年を取って行く話でも十分面白かったんです。年が逆行するから、うまく行った訳ではないんですから。でも、それだけだと3時間という長い時間、淡々と一人の人生を語るには冗長というか、観てる側のテンションを維持するのが難しかった。だから、思い切って「老人の状態の赤ちゃんが、年を取るごとに若くなる」って設定をいれたんじゃないかと思うんですよね。別に不治の病でもよかったって気もする。少なくとも最初から「逆行する」というところから話を組み立てたとは思えない。だってそうである必要性のあるエピソードが少ないんだもん。
 でも、その逆行するからこそ生まれた、あの「交差する」シーン。デイジーが開いたバレエ教室で、ベンジャミンが後ろから抱きしめて「今がちょうどだ」みたいな感じで鏡をじっと見つめるシーン。あそこは感動した。すごく美しく、すごく悲しい。このシーンはとても「逆行」を活かしたシーンじゃないかと思う。
 とまぁ、とにかく面白かった。そしてケイト・ブランシェットが超絶きれいだった。あの人ってものすごく美しいけれども、すこし昔の時代の美人顔なんですよね。数十年前に生まれていたら、歴史に刻まれたかもしれないぐらいキレイだ。もちろん今の時代でも輝いているけどね。