「おくりびと」 2008年 日本

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 おもしろい!おもしろいんだけど…見終わったときは本当におもしろかったし、本木ってこんなにかっこいいんだ!とか、山崎努は外さないよねとか、ユーモアあるよね!とか、あのシーン泣けるよね!ってかみんな泣いてたよね!とか思ったんだけど、見終わって2日たった今、どうにもこの映画が好きになれない自分がいる。
 それはきっと、この映画が死を扱っているからかな。なんか死を扱った映画が涙を取りに行くのは卑怯、というか当たり前、というか…それぞれの死のエピソードはとても感動的ではあったんだけど、なんか最後が今ひとつというか、涙を取るために都合のいい流れを作り過ぎな感じがする。きっと2日たって冷静になったから、そういうところがだんだんと心の中で浮かんで来たのかも知れない。
 <ここからネタバレの可能性あり!!>
 具体的に何よ?って言われるかもだけど、例えば
 ・なんで広末戻って来たの?
 ・なんで、銭湯のおばちゃんが死んだときに嫁を連れて行ってもなにも言わないの?
 ・親父の死に対して、なんで広末があんなに連れて行きたがったの?
 ・親父の納棺業者もさすがにひどすぎじゃね?いくら対比を出したいにしてもあからさますぎじゃね?
 ・納棺士って汚らわしいってみんな思う?それこそ教師に指差されてバカにされるぐらい?これもストーリー上、必要とはいえ、不自然すぎる。
 とまぁ、なんかへーんな感じを受け続けた2時間だったんだよねー。本木と山崎はひたすらよかったし、広末のちょいエロシーンはよかったし(ハリウッドが広末に興味を持っているといっているそうだが、そんなによかったか?本木のほうがよかったと思うが)。
 お涙ちょうだいのシーンだってよかったよ。5分遅れて切れた人が、死んだ嫁の死化粧で"ありがとう"と言えるシーンとか、特にあのオカマの死化粧をしたときの親の泣き崩れ方もよかった。
 でもなんかそういう脇道の小さいエピソードはよかったけど、肝心の本筋が何も残らない。そういうところが、2日たって、心の中で落ちなかった部分がどんどん鋭角に尖って来て突き刺さるようになったから、こういう感想になったんだろうなと。いや、まぁ面白かったんだけどね。こんなに否定的に書くつもりじゃなかったのになぁ。