「シルク・ドゥ・ソレイユ ”ZED”」を観て

シルク・ドゥ・ソレイユ公式HP
 決して安い見物ではない。レギュラー席で10,000円、最安値で7800円、最高値は18,000円と高額だ。だから気軽には観れないが、少なくとも1度は観るべきショーだ。そこには人間の驚異と芸術と感動が蠢いている!
 サルティンバンコやらドラリオンやらの単語は聞いていたものの、それがシルク・ドゥ・ソレイユの講演名であることも知らないで行ったのだが、なんでこれまで観なかったのか公開するほどのレベルの高さである。
 シルク・ドゥ・ソレイユはただのサーカスではない。それは高い芸術性がそう感じさせるのではないかと思う。衣装も俺のイメージにある派手派手のダサイ衣装ではなく、幻想的なきれいな衣装で、舞台もそんじょそこらの舞台演劇なんて目じゃないぐらい作り込まれている。空中ブランコなどもやるので3次元レベルで作り込まれている。それも芸術性を失わずに。
 もちろん、見た目だけではなくて魅せる技もすばらしい。バトントワリング世界チャンピオンの稲垣正司が出ていたのは知っていたが、それ以外にも何と言えばいいかわからない技だけど、10人ほどの人が超ハイレベルな組体操をしたり、ジャグリングをしたり空中ブランコをしたり…

<ここから演目の具体的なことを書くので、知りたくない人は見ない方がいいです>

 しかし圧巻は男女1組の力技だ。ストイックすぎるほどストイックな技。静寂の中、静かに二人が現れる。彼らは手を使わず、そして女性は逆立ちした状態で首の付け根を会わせて乗っている。そこから、一度も地面に手をつかないまま体操でいうところの上水平や水平支持の様な体勢を組み合わせて行く…観てるこちらも息ができない状況だ。これは感動せざるを得ない。
 ほかにも綱渡りもすばらしい。最初は命綱をして来たのに、真ん中までくると外してしまった!おそらく縄の端は観客席に少しかかるので、万が一のときに観客に被害が出ないようにという配慮だろうが、じゃぁ、舞台の真ん中で落ちたら死ぬ覚悟なのか!?下手な演目ではあるが、レベルは非常に高いのではないか(ほかがわからないので正確に評価できないが)。観ているこっちが怖くなって早く終わってほしいと思うほど危険なことをやっていた。
 また、サーカスに描かせないピエロの存在も忘れられない。というか彼らが主人公じゃないかとすら思えた。ショーが始まる前から観客席をうろちょろし、観客を弄る。これがまた滑稽で面白い。待ち時間を忘れさせられた。そしてみんながピエロを観ていると、そのまま演目に入って行くのだ。この入り方はやられた!ピエロ達がかわいすぎる。
 と、まぁ、すばらしい2時間(2時間半?休憩が30分あった)だった。ぜひ皆さんも観てほしい。