「ワンス・アンド・フォーエバー」 2002年 アメリカ

ワンス アンド フォーエバー WE WERE SOLDIERS [DVD]

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 ベトナム戦争を題材にし、メル・ギブソンが主演の映画である。敵地に乗り込み、圧倒的不利な状況で戦うというのは、プライベート・ライアンの最初のシーンのような激しい戦闘シーンに匹敵する。でもそんな激しい戦闘が2時間たっぷり見せつけられる映画だ。
 なぜこんなになまなましいのか。それはこの映画の原作者であるハル・ムーアが体験した実話だからだ。この映画に出てくるベトコンは決してバカではない。むしろ冷静に手強い相手として描かれている。こういう風に敵を的確に描けるのは体験者だからか。
 反戦映画として描かれてきたこれまでの映画はあくまでアメリカ軍の混乱ぶり、狂気ぶり、むなしさを描くという形で伝えられてきた。それに比べるとここまで中立に描いたベトナム戦争映画は珍しいのではないか。ベトナム側を中立で描いている点については、好感が持てるが、変に中立に描いてしまうと、何か物足りないというか、何と言っていいかわからないが歯切れが悪い。
 また、戦闘の激しさを売りにするのであれば、ハンバーガー・ヒルの方が好きだし、すでにたくさんの映画が作られているので、目新しさはない。なので、おもしろいことはおもしろいのだが、飛び抜けて面白いというものでもない。
 ただ、この映画に出てくるバリー・ペッパーがイイ。彼をプライベート・ライアンから観ているが、いい顔してるよね。決してイケメンではないが、目が鋭くて、少し悲しげな表情がいい。最近お気に入りの俳優だ。