福田総理辞任について一言

 元々大っ嫌いな首相ではあったが、この辞任劇にはあきれかえるばかりだ。このタイミングで福田がやめることは自民党にとって何もメリットはない。全く自己中心的な辞任である。
 この辞任についてパッと思いつく感想を書いていく。

 まずはこれだ。安倍も2007年の8月27日に内閣改造を実施しておきながら、翌月26日に辞任を発表している。そして福田は2008年8月10日に内閣改造を実施し、9月1日に辞任を発表した。このタイミングでやめる理由がわからない。まず、前任者が改造一ヶ月経たずに辞任を発表したことについて、相当なバッシングが合ったにも関わらず、それを次の首相である福田がまたしても実施してしまったこと。これでは前回の失敗を全く反省していない。このような中途半端なタイミングでやめることは、次の内閣になんのメリットもなかったことは自分自身が一番よくわかっているにもかかわらず、である。
 また、前回の安倍はまだ、体調不良という理由があったし(本当かどうかはわからないが)、タイミングが少しずれたとはいえ、参議院選の敗戦の責任という理由もあった。しかし、福田の辞任にはそのような理由は見当たらない。もともと批判が続いていたし、それを打破するための内閣改造だったにも関わらず、その改造の評価も定まらないうちにやめてしまっては全く意味がない。

  • 次の総理の座は誰なのか?(麻生下しの辞任劇?)

 次の総理は誰なのか?多くの人は麻生太郎だ、と答えるだろう。実際、そのように進みそうだ。だが、このタイミングでやめることは麻生にとってメリットがあったのだろうか?
 俺にはそうは思えない。どうも福田は麻生太郎と共倒れをしたいとしか思えないのだ。かといってその代わりに誰をしたいのかという思いも伝わってこない。さて、そう思う理由としては、麻生が幹事長についたたった一ヶ月後というタイミングである。
 前回の安倍改造内閣においても麻生は幹事長につき、その一ヶ月後に内閣解散となっている。そして待たしても福田改造内閣で幹事長に任命され、一ヶ月後の内閣解散である。麻生は二人の首相に踊らされたわけだ。麻生はネット界隈を中心として人気があるが、幹事長という要職についている間、実績をあげていない。あたりまえだ、一ヶ月では何もしようがない。福田が麻生に禅譲する気があるのであれば、ある程度の期間をおいて麻生に実績を作ってから辞任をしたはずだ。しかし今回はそのようなことをしなかった。福田は麻生を自分の内閣にとりこんだ。これは福田と麻生を同化することである。そして福田がこんなやめ方をして批判を食らえば、同化してしまった麻生(今やローゼン閣下のイメージしかない)にもその負の影響が及ぼされることは想像できるはずである。福田は麻生に何か私怨でもあったのだろうか?

  • 解散なき辞任

 ねじれ内閣で自分の政策がうまく進まなかったこと、そしてそれは牛歩戦術とも思える民主党の非協力性であることを批判して辞任した。ではどうするべきかというと、解散総選挙だろう。今の民主党は俺も好きではない。政策よりも政略に固執している小沢たぬきは国民への裏切りとも言える。では、自民党はどうすべきかというと、残された道は解散総選挙しかない。民意を国民に問い、どちらが民意に添った政党であるかを示す必要があったのだ。そのために自民党はビジョンを示し、国民に政策を問い、民主党の政策のなさ・政略に固執して何も考えてないことを批判して政党政権にふさわしくないことを示した上での解散総選挙しかないのだ。
 ところが福田はビジョンを示さず、民主党の政略に負け、さらにそれを国民に問うこともなく、ぐだぐだと愚痴をこぼして辞任してしまった。これでは次の総理もねじれ国会のまっただ中に放り込まれて持つはずがない。今のマスゴミは与党たたきがはやりである(もっともはやりに乗っかることしかしないマスゴミもどうかと思うが)。こんな辞任の仕方でははやりは収まるはずもなく、きっと次の首相でも続くだろう。そして次の首相は?たいした手柄もなく、元幹事長という福田自民党の要職者なのだ。これでは麻生に死ねと言っているのと同じではないか。
 福田がビジョンを示さなかった以上、解散総選挙をしては自民党が勝つ見込みは0のため、解散→禅譲という流れは作れないにしても、最悪の流れにしてしまった福田の責任は重い。

 本来であれば、自民党は一度野党に下るべき流れなのだ。民主党がいま政権をとれは、政権政党にふさわしい運営ができないのは明らかである。自民党たたきだけで結束している日和見集団が民主党なのだ、きっと政権をとればそれこそ1年もたたずに瓦解するだろう。そうすればマスゴミどもはうれしそうに民主党批判をはじめ、”やっぱり自民党じゃないとだめだ”と自民党待望論を繰り出すことだろう。そのときに、もともと民主党自民党の政策に大きな違いはないのだから、民主党の一部反乱分子を自民党に取り込み、再び総選挙である。あわよくば、公明党という不透明きわまりない集団とも手を切り、真の意味で自民党単独での政権取りが可能になるかもしれない。
 そうしたときに、麻生(あるいは二階あたりか?)が登場する。これが長期的には自民党にとって有利になる戦略だったのだ。野に下るという、政治家にとって最も選びにくい選択肢ではあるが、それがもっともダメージの少ない方法なのだ。今の自民党は長期的なビジョンが全く描けていない。今のねじれ国会とマスゴミ自民党批判、民主党賛美が続くと、本当に民主党が力を蓄えてしまうということをわかっていない。自民党はこのまま力を失って血に落ちて行くのだろうか。俺は別に自民党シンパではない。今の最もまともな政党が自民党だと思っているのだが(といっても自民党の評価も低く、最近は白票を入れるしかないと思っているが)、このままでは本当にどの党にも票を入れられなくなってしまう。
 全く入れるべき政党がなくなったとき、正式に日本は終わる。