「マイ・ブルーベリー・ナイツ」 2007年 フランス=香港

 ウォン・カーワイ映画は実は観たことがなくて、でもブエノスアイレスとかは観たくて気になっていた監督の一人ではある。
 そんなウォン・カーワイの初英語作品が本作「マイ・ブルーベリー・ナイツ」である。なんと主演はノラ・ジョーンズで、他にもジュード・ロウレイチェル・ワイズナタリー・ポートマンと早々たるメンバーが出揃っているのだ!
 この映画は何かの映画を観たときに宣伝チラシで本作を見つけ、そのあまりのキレイさにビビっと来たのだ。予告編も流れていて、やっぱり映像がきれい過ぎて気になっていた。
 もちろん感想としても、まず第一に映像美に酔えたことがいえる。ワンシーン、ワンシーンが、いや、一コマ一コマからキレイなのだ。どこをとってもポストカードになりそうな勢いである。これだけで観る価値があるだろう。
 個人的には、どうしてもタイプではなくて、好きになれなかったレイチェル・ワイズがめっちゃきれいに見えたことが収穫だった(笑) ナタリー・ポートマンはいつ見たってきれいだけど、今回のようなちょっとビ○チっぽい格好もそれはそれでセクシーでよかった(笑)

 あらすじ
 エリザベス(ノラ・ジョーンズ)は、レストランを開いているジェレミージュード・ロウ)に恋人が浮気をしていないかをたずねる。ジェレミーはその恋人が食べた料理から思い出し、二股をしていた事実を伝える。失恋したエリザベスは、閉店間際のレストランで売れ残った"ブルーベリーパイ"を食べる。
 それからエリザベスはたびたびレストランをたずね、ブルーベリーパイを食べる。
 そんなあるひエリザベスは失恋の痛みを忘れるため、地方に行き、ウェイトレスとして働く。そんな中、アル中で離婚間際のアーニーやその妻のスー・リン(レイチェル・ワイズ)と出会い、またある地では幼い頃から父親にポーカーを仕込まれ、そんな父を嫌いながらもポーカー・ギャンブル中毒に陥っているレスリーナタリー・ポートマン)と出会い‥

 <ここからネタバレの可能性あり!!>
 先にも書いたが、本作はとにかく映像がいい。こんなに本当に一コマ単位ですばらしい映像を作り出すことに驚愕するが、それが一方で"おなかいっぱい"感も感じさせる。とにかく低速度撮影で撮ったorスローモーションのシーンのオンパレードで、食傷気味になる。もちろん構図がいいとかっていうのは、どのシーンであってもいい。黒澤とかもそうだと思う。けど、低速度撮影のような特殊な撮影法は、ここぞ!というシーンだけで使った方が観る方は印象深いのではないのだろうか。と、少なくとも撮影について素人の俺はそう思う。
 ストーリー的には深いものは無い。でも、切なくなるショーとストーリーを2つ、3つ見せられた感じでとても好印象だった。特に最初のアーニーとスー・リンのシークエンスがよかったなぁ。きっと誰もがアーニーを好きになったのではないだろうか。あの一途さ、そして昼と夜の対象性。昼は本当に"街のおまわりさん"で、みんなから愛される人間であり、夜はただのアル中、それも虚言癖のストーカーである。もっとも虚言癖では無かったようだが。そのアーニーに対するスー・リンの仕打ちと、アーニーの死後のスー・リンの奥底にあった心。さらに、アーニーの死んだ場所が、スー・リンとの出会いの場所であったころ。アーニーはスー・リンにだけわかるように自殺したのだ。このシークエンスはよかったなぁ!
 ノラ・ジョーンズは演技も良かったですね。また、適度にかわいくて、決してかわいすぎない(笑)それがこの映画にあっていたように思います。レイチェル・ワイズは最後のあの巻き髪にやられた(笑)キレイだったんですね!ナタリー・ポートマンは、いつもどおり!でも最高にキレイだ。あ、もちろんジュード・ロウもよかった。だんだん渋くなってきましたね。頭の方も‥でも彼は中々いい映画に巡りあえていないと思っていて。個人的にはガタカぐらいしかないのではないだろうかと思う。でも人気があるいい役者だからいい映画に出れてよかったなぁと。
 というわけで、一晩たってこのレビューを書いてみて、自分でもビックリだけど誉めてばっかりだ。でも後味のいい映画ってきっと時間がたってから聞いてくるんだろうなと。久々にパンフレットを買ってて良かった。きっと買ってなかったら今ごろ後悔してただろうな。俺の嗅覚もまだまだいけるな(笑)