「カッコーの巣の上で」 1975年 アメリカ
- 出版社/メーカー: ワーナー・ホーム・ビデオ
- 発売日: 2007/12/07
- メディア: DVD
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買ってみた感想?もちろん最高だ。というか前に観た時よりも最高だ!何度も言っている事だが、観るたびに好きになる映画は最高の映画だ。そしてこの作品はまさしくそれだ。
人間の尊厳とは?人間とは?人間の根本を、人間の尊厳を高らかと謳う最高の映画だ。
精神病棟という、閉鎖的な空間に閉じ込められたジャック・ニコルソンが自由を訴え、周りのさまざまな事情から精神病になってしまった人たち、それも抑圧的な環境でむしろ人間味を失った人たちを、もう一度自分を取り戻させようとする過程が描かれている。その逆説的な物語が観ている人たちに「自らの精神」を考えされる傑作だ。
あらすじ
マクマーフィー(ジャック・ニコルソン)は、懲役の労働を嫌い、精神病をわずらったフリをしてまんまと精神病院にもぐりこむ。
精神病院にもぐりこみそこで見た光景は、圧倒的な権力をもつ婦長に押さえつけられ、主張も自由もすべてを奪われ廃人のように扱われる患者たちだった。
マクマーフィーはそんな彼らを黙って見てはいられず、活動しようと話しかけ、さまざまな刺激を与えようとする。そして少しづつではあるが、患者たちもそれに楽しみながら応えようとする。しかし、婦長や医者からすれば、それは反逆であり、マクマーフィーは"扇動者"の"問題児"でしかなかった。
マクマーフィーはそんなことはお構いなしに、患者たちとコミュニケーションをとり、婦長たちに挑もうとするが、ついに"扇動者"のレッテルを貼られたマクマーフィーはショック療法を受けさせられる。
しかしマクマーフィーはそれでもめげず…
<ここからネタバレの可能性あり!!>
現在ではありえない(と信じている)治療法で、むしろ人間味を失わされている人たち。当時は精神病に入ったら一生出てこれない環境だったのだ。そんな環境だからこそ、ちょっといっちゃってはいるが人間らしさを失っていないマクマーフィーが際立つ。
彼は確かに扇動者であり、反逆児ではあるが、その根本はまちがっちゃいない。むしろ患者たちを一人の人間として認め、刺激を与えることによって、患者自身の精神を呼び覚まそうとする様は理想的な精神病医師にすら見える。
しかし、"日課"を大事にし、"素直さ"を求める婦長側からするとそれは決して認められないことだったのだ。モノを言わず、ただ黙ったいるのが正しい人間としたのだ。果たしてそれが人間なのか?絶対に違う。
これを観ると、じゃぁどれが正しい人間なのか?と問いたくなる。しかし、考えていくと何が正しいのか?学校の教育や道徳、セラピーや研修、それらすべては"型にはめていく作業"ではないか?と。そう思うと、俺だって、立派な"患者"じゃないかとすら思えてくる。
自分が正しいことをしていると思っていたって、その正しいことってのが"型にはめていく作業"の末に培ったものだとすると、そこらへんの変な宗教にはまった奴らとかわらねぇなぁと思ったり。
話は変わるが、今ではありえない治療の代表であるロボトミー手術。マクマーフィーはそれを受けさせられる。そしてついに廃人になってしまう。本当にこのシーンは悔しく悲しい。もしあのドンチャン騒ぎのときに逃げていたら…チーフが誘いに乗っていてくれたら…そう思うとたとえ映画でも悔しくなってしまう。