「ビフォア・サンセット」 2004年 アメリカ

B002FKTD7Eビフォア・サンセット [DVD]
ワーナー・ホーム・ビデオ 2009-07-22

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前作"恋人までの距離(ディスタンス)"へのリンク
 以前にも書いたとおり、僕はビフォア・サンセットを作ってほしくなかった。なぜなら"恋人までの距離(ディスタンス)"が、最高の終わり方だったのに、なぜざわざわざ続編を作る必要があるというのか?あれは、観る人それぞれが自分のなかで続編を考えるのがおもしろいのではないか?と言う思いがあったからです。"じゃぁ観るな"と言われてしまいそうですが、続編を作ったら作ったでほっとけないのがファンでして(笑)

 で、観てみてどうだったのか?おもしろかった!うん。これなら続編として認めてやろう(何様だ?)と思える佳作だと思います。"恋人までの距離(ディスタンス)"と同じように、2人がひたすら会話するというスタイルですが、今回はそれをさらに一歩すすめてリアルタイムに会話を撮るという撮り方にチャレンジしています。それもアイデアだけではなくて、いろいろと工夫しているところがあって飽きずに、そしておしゃれに、そしてちょっぴり切なく、大人の事情をもった2人を描いています。うん。おもしろい!

 よくよく考えれば、これは1つの映画といえるんじゃないか?と思う。リアルに年をとる2人のために9年あいたけれども、これは"ビフォア・サンセット"も含めて1つの"恋人までの距離(ディスタンス)"なんじゃないか、と。

 あらすじ
 ジェシー(イーサン・ホーク)は9年前のセリーヌ(ジュリー・デルピー)との1夜の恋を元に1冊の本を書く。そして、その本のプロモーションのためにパリの"シェイクスピア・アンド・カンパニー"で会見を開いていた。するとその記者たちのなかに32歳になったセリーヌがいた!
 ジェシーはあと85分で空港へと向かわなければならない。その短い時間をセリーヌをすごす。2人はまず9年前に約束した"半年後にウィーンに向かったか?"を確認する。セリーヌは約束の日の前日に祖母が死に、葬式のために向かうことが出来なかったことを告白する。セリーヌは"でもあなたも行ってなかったでしょ?"問う。しかしジェシーはなんと約束の日にウィーンにいたのだ。
 2人はカフェや、ノートルダムの前や公園でひたすら話す。まるで9年前の"あの時"のように。恋愛、セックス、社会…でも9年前とは違うことがある。それはお互いに恋人がいるということ。ジェシーは結婚し、4歳の子供もいる。セリーヌも結婚はしていないが、戦争カメラマンの恋人がいる。刻々と時間が迫る中、2人は時間を惜しむように会話する…

 <ここからネタバレ!!>
 あらすじの前に、"この映画は2つで1つの映画"と書きましたが、パンフレットを読んでいるとリンクレイターたちはさらに上を考えてるみたいで、さらなる続編を作る可能性もあるとか!それもおもしろいね。もう中年になる2人。おじいちゃんおばあちゃんになる2人。もしかしたら片方が死んでしまったり…もしそんな映画が出来ればものすごいことですよ!
 この映画の売りはなんと言ってもリアルタイムであること。ドキュメンタリータッチでいいですよね。でも普通そういうものを撮ろうと思うと、動きがでないもんですよ。でもそれではおもしろくないからと、2人はカフェをでてひたすらあるいたり、フェリーに乗ったりして背景に動きを出すんですよね。そういう細かい工夫が好きです。
 最初のシーンでは効果的に"恋人までの距離(ディスタンス)"の映像を入れてますね。あれで一気に映画の世界に飛び込んだような気がします。
 2人の会話も相変わらずでおもしろい。でもセリーヌがドライな発言を最初はするんですよね。それにたいしてジェシーはやっぱり未練があるみたい。そこが男と女の現実ってかんじがしてよかった。もちろんこれは伏線だったわけですが。
 最後もよかったですね。もうジュリー・デルピーがキレイでかわいい。"Hey、飛行機に乗り遅れるんじゃない?”ってラストのセリフにやられた。ジェシーもあわてずに"知ってる"とだけ言うところがイイ!あぁまた謎だ。どうなるんだよその後!実は1つ思ってることがあるんです。あのセリーヌの部屋ってウェイキング・ライフでみた"あの部屋"に似てません?僕はそう気付いたとき思ったんです。この2人はこの後再び結ばれるんじゃないか?と。この問いに答えはでるのでしょうか?10年後か、20年後か?でないのか?