「マジック」

 アンソニー・ホプキンスが怪演を魅せた本作。やっぱこの人は怖い演技をさせるとたまらない。ツタヤではハンニバルへ通じると書かれていたが、確かになと思わせる。まぁどっちかっつーと、ジャック・ニコルソンのシャイニングの方が近いかもしれないが。
 腹話術を用いながらマジックを行うという芸で今にもブレイクしかけのコーキーがその腹話術によって精神が蝕まれ…というこれまで聞いたことのないような設定だ。(もしかしてあやつり左近ってこれが元ネタ?)
 とにかくアンソニー・ホプキンスと、恋に落ちるヒロイン・ペギーの巨乳に注目だ!


 あらすじ
 マジシャンで有名になりたいコーキーだったが、地味な見た目のせいか全く売れないでいた。しかし腹話術を使ってウィットに富んだ話題を盛り込みながらマジックをするというアイデアで一躍脚光を浴び、ブレイクは間近となっていた
 しかし、もうテレビに出ようという段階でコーキーは逃げ出してしまう。高校の頃に恋焦がれていたペギーの元にやってきて、相変わらずの美しさにコーキーが心踊っていたとき、コーキーのマネージャーに見つかる。マネージャーに見つかり、戻るように説得されるが、その時コーキーが精神を病んでいることに気づく。誰にも頼れない中、腹話術の練習に励み、腹話術の人形ファッツとして話しすぎたためか、もはやファッツはひとつの人格となってコーキーの中に存在してしまったのだ。
 病院に行けというマネージャーに対してコーキーは…
 <ここからネタバレの可能性あり!!>
 ファッツはコーキーにとって唯一の親友だったはずだ。売れない時期に師匠も死に、二人三脚の相方がファッツだったのだ。おそらくは一日中ファッツとコーキーで会話をしていたはずで、お互いに知らないものは何も無い仲だったのだろう。だからこそ、コーキーは迫真の演技でもってマジシャンとしての地位をつかめるほどになったのだ。
 しかし、そのファッツによってつかんだチャンスがファッツによってなくなろうとしている。この矛盾に悩み、隠れようとする。ペギーはコーキーにとって思い描いた最高の道を歩んでいた。夫との不仲と不幸、そして劣らぬ美貌。社会的地位を掴めそうなコーキーだから、高校時代とは違い大胆にペギーに近づくことができた。
 マネージャーを思わず殺してしまった時、ファッツにとって、今まさに自分の存在が消されようとしているという危機からコーキーの精神を乗っ取ろうとする。そしてファッツを武器としてマネジャーを殺す。この時からファッツはコーキーへ相方以上の関係となる。
 とにかくこの映画はアンソニー・ホプキンスの異常なまでの演技に掛かっている。特にファッツとコーキーの主従関係が変わってしまい、命令される立場となるときのあの演技!彼じゃなければこの映画はただのキワモノ扱いで終わっていたんじゃないかと思う。