はやぶさ帰還



NASAによるはやぶさ帰還時の撮影
 和歌山大学によるはやぶさ帰還時の中継映像
 2003年に打ち上げられ、彗星イトカワへの着地、サンプルの採取(されているはず)、離陸、そして地球への再突入を目指していたはやぶさが、幾多の数え切れない困難を、不可能と言われた困難を乗り越えて、2010年6月13日の20時52分頃に再突入を果たしました。
 度重なる故障の度に、もうだめだもうだめだと言われながら、四角い穴に丸い棒を突っ込むような起死回生のアイデアで乗り越えてきたはやぶさ。研究者達の用意周到さとアイデアの豊かさには脱帽せざるを得ません。
 そしてそのアイデアを実現してくれたはやぶさ。普段は無神論者であるはずの研究者達もまるではやぶさに生命が宿ったかのように思うロマンティシズムを隠しませんでした。
 これは日本の宇宙史どころか、科学史、そして世界の科学史にも乗るほどの業績です。なぜか日本のテレビ局は一切放映しませんでしたが、Ustreamやニコ生で中継され、大いに賑わいました。この瞬間に立ち会えたことを誇りに思います。アポロの月面着陸の際に、あれたテレビ画像に食いついていた少年ってきっとこんな思いだったんだろうなと、数十年の時を越えてまた一歩科学は進んだのだと感動しました。
 はやぶさはその姿勢からカメラの方向が地球の逆を向いていたのですが、研究者達の「最後に地球を見せたい」という思いから、最後のエネルギーで反転し、地球を撮影して送信しました。それがトップの画像です。地球は少しぼけているし、下部は切れているのですが、これほど感動させる地球の写真は無いように思います。
 はやぶさ本体は大気圏突入により燃え尽き、イトカワのサンプルが格納された部分だけがオーストラリアにたどり着きます。パラシュートが開かなければサンプルも燃え尽きたのですが、パラシュートが無事に開いたことを示すビーコンもキチンと届いたので、今頃地上では探索がつづいているのでしょう。サンプルが無事に入っているかは未知数です。サンプルを入れるために発射した弾丸は不発だったとも言われています。ただ、採集する際の衝撃で少なくとも少しは入っているようです。
 続報が待たれます。そして、はやぶさ2等の次なるステップアップへの勢いがつけばと思います。事業仕分け等で予算の確保に苦しんでいますが、ぜひとも確保していただきたい。