"医学と芸術展"に行ってきた


MORI ART MUSEUM [医学と芸術展]
 六本木ヒルズ森美術館で2月末までやっている「医学と芸術展」に行ってきました。医学と芸術と言えば、最初に思い出すのは真の写実のためには内面まで知らないと、馬や人を解剖したレオナルド・ダ・ヴィンチですね。本展でもレオナルド・ダ・ヴィンチに触れ、そして芸術とは人を見ること、そしてそれは同時に医学であるとして、両方の関係性をつかみつつ、現代医学の遺伝子学という倫理と芸術まで網羅した素晴らしい展覧会でした。
 面白いモノとしては、"Mother and Child Divided"*1で有名なダミアン・ハーストの"外科医"や、ジル・バルビエの"老人ホーム"*2なんかがある。
ジル・バルビエ
ル・バルビエ "老人ホーム"
 その他にも、本田技研によるパワードスーツのようものや、遺伝子操作により蛍光色に光るうさぎ(GFPバニー:エドワルド・カッツ)や、培養液とポンプと樹脂により人工的に皮膚を作ることで動物を殺さなくて済むのではないかと提案する"ヴィクティレムス・レザー"など、現代の医学から哲学に迫るものもある。
 遺伝子操作なんてまさに現代の医学で扱われるもので、倫理的に拒否反応が起こっていることは知っている。でも、見ていて思ったのは、なんで遺伝子操作はダメなのか?について答えがでないことだ。「神が作り給うたものを、人ごときがいじるなんて」って論調が多いけど、じゃぁ犬はどうなのさ?あれはオオカミを飼い慣らして、かけあわせて人間が作り出したものじゃないか。あれだって立派な遺伝子操作だろう?あるいはイノブタなんてどうよ?あれも自然のままじゃぁ起きないことさ、すでに人は遺伝子をいじってる。なぜ蛍光うさぎはダメなのか。こう考えると遺伝子操作は認めないといけないのでは?

*1:牛と子牛をホルムアルデヒドで保存して両方とも縦に二つに分割されているもの。以前これも六本木ヒルズで展示されていた気がします。

*2:スーパーマンキャプテンアメリカが登場した年からそのまま年齢を重ねたら今頃老人ホームに入っている年で、"誰も年には逆らえない"という意味をこめている