「コラテラル」を観て 2004年 アメリカ

B000EPFQ6Oコラテラル スペシャル・コレクターズ・エディション [DVD]
スチュアート・ビーティー
パラマウント ジャパン 2006-04-21

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 トム・クルーズ初の悪役に挑んだ本作。「Ray / レイ」のジェイミー・フォックスを主演に、「ヒート」のマイケル・マン監督が撮った映画である。
 うーん。面白いことは面白い。とくにフェイミー・フォックスがいい演技をしていたが、やはりプロモーションどおり、トム・クルーズの悪役具合を目立たせようとしてダメにしてしまっているなぁと。トム・クルーズの立ち位置が非常に微妙。
 映像とかはきれいだし、ジェイミー・フォックスの演技はよくて、細かい台詞まわしもいい。けど、例えばダイ・ハード的なしびれる面白さは全くない。それはひとえにトム・クルーズがダメダメだからだと思う。白髪?銀髪?にしても結局トム・クルーズトム・クルーズで"悪いやつ"感が無いんですよね。
 なんちゅうか。悪いやつには悪いやつなりのかっこよさがある訳で。でもトム・クルーズの演技には微妙にいいやつ感が残ってる。しかも悪い形で。それを打ち消そうと、例えばクラブとかでぶっ放しまくったりするわけだが、アレは逆効果。誰があんな殺し方するかよと。バットマンのジョーカーは確かにハチャメチャなことをするけど、でもよくよく考えると虚をついて相手の裏をかくという点で合理的だったりして、でも人の命を何とも思わない感がゾクゾクさせて好きになっちゃったりするわけ。でもトム・クルーズのはただぶっ放すバカだったりするわけ。だから好きになれない。
 じゃぁターミネーターのT1000的なひたすら無機質な悪いやつか、というとそうでもない。なぜならそんな約をトム・クルーズにさせてしまったら、意味が無いから…まぁ結局、トム・クルーズが悪役を演じることで映画全体が目立つんじゃないかという浅ましい配役をしてしまったことが諸悪の根源ということでしょうか。