「バーン・アフター・リーディング」 2008年 アメリカ

B001P3POZWバーン・アフター・リーディング [DVD]
ブラッド・ピット, ジョージ・クルーニー, フランシス・マクドーマンド, ジョン・マルコヴィッチ, ジョエル・コーエン;イーサン・コーエン
Happinet(SB)(D) 2009-09-11

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 これはまさにコーエン兄弟による映画である。偶然の妙から生まれる滑稽なドタバタ劇。本来なら生まれ得ない人のつながりと事件が、ほんの些細な出来事で絡み合い、明後日の方向へストーリーが進んで行く。前作「ノー・カントリー」では、重たい雰囲気を作りだしていたが、本作ではその真逆でバカバカしいコメディーを作り上げた。
 出演者が豪華で、ブラッド・ピットジョージ・クルーニージョン・マルコビッチといった大御所に、いつも通りのフランシス・マクドーマンド、さらにこれらに並んで最近俺が気になっているティルダ・スウィントンも出演している。ブラッド・ピットティルダ・スウィントン「ベンジャミン・バトン」からたて続きの競演である。
 とにかく、いつもの人を小馬鹿にしたコーエンらしいコーエン作品が好きな人はぜひ観るべき作品である。俺はいまいちコーエンと相性が悪いのだが、そこそこ楽しめた作品だった。あと!これから観る人は必ずエンディングまで観ること!最高に最低なエンディング・テーマが流れるので是非聞いてほしい(笑)

 あらすじ
 オズボーン・コックス(ジョン・マルコビッチ)はCIAから飲酒問題で首にされてしまったが、妻のケイティ(ティルダ・スウィントン)にそのことを伝えると「年金は?退職金は?」と金のことだけ心配される。オズボーンはとりあえず当面の生計をたてるためと、首になったことへの腹いせにCIAの暴露本を書こうと決める。
 ケイティはオズボーンとの離婚を考えていた。なぜなら、ハリー・ファラー(ジョージ・クルーニー)と浮気をしていたからだ。しかしハリーはケイティだけではなく、出会い系サイトを通じていろんな女と浮気をしていた。
 そんな中、チャド(ブラッド・ピット)とリンダ(フランシス・マクドーマンド)はオズボーンが記したCIAの機密情報をひょんなことから手に入れてしまったがために…

 <ここからネタバレの可能性あり!!>
 いやー、しかしバカバカしい(笑)ブラピがこんなにバカな役をやったのはいつぶりだろうか?いつもはバカな役をやっても、少しはかっこいいシーンが入るのに、本作ではバカばっかり(笑)
 本作でコーエンらしいなぁと思うのが、本作では"悪いやつに限って生き残り、いいやつに限って死んだ"ことである。オズボーンはただただ自伝がてら暴露本を書こうとしたにすぎない。悪いのはケイティで、離婚のためのあら探しにオズボーンのパソコンから自伝の草稿を持ち出したのが原因だ。それだけならいいのだが、ここからコーエンらしく、そのCDが弁護士に渡り、弁護士のおばちゃん(おばちゃんは弁護士?)がいつも行くジムでCDを落としてしまうことで、事態がややこしくなるのである。
 また、チャドは正真正銘のバカで、あろうことかCDを機密情報だと勘違いし(もっともオズボーンが大した情報でも無いのに暗号化して電子すかしまで入れるのが悪いのだが)、あろうことかそれを律儀に返して金を脅し取ろうと計画する。確かに悪いことだが、バカだからオズボーンに怒鳴られて萎えてしまう。ところが相談したリンダがまたややこしい(笑)
 リンダはどうしようもないやつで、男を捕まえるために全身整形をしようとする。その金に困ったためにチャドの提案を何としても実現するために突っ走る。その突っ走ったあげくに「情報はまだある」なんて嘘をつき、始末の悪いことにその情報集めをチャドにさせたためにチャドは死んでしまう。さらには唯一真剣にリンダに好意を抱いていた店長までもがリンダからの叱責のせいで空き巣を決心し、見事に殺される。最後の殺されるシーンはエグイ(笑)
 こうして、悪巧みをしたケイティ、リンダは目的を達成し(離婚できた・整形できた)、悪いことをしていないオズボーン、チャド、店長は死ぬ(チャドは多少は悪かったが)のだ。ハリーは、うーん、中途半端な悪だから、中途半端な結果だった(笑)まぁお咎めなしだったのはいいことだけど、妻から愛想を尽かされていたことが判明したし、国外追放(自ら勝手にだが)になったしプラスマイナス0か、いやマイナスかな。とにかく中途半端だ(笑)まぁそれがまたいいのだが。
 ところで、題名の「バーン・アフター・リーディング」ってのは、よく007とかで出てくる「この指令書を読んだ後は焼却処分するように」って台詞のことなんでしょうか?違うのかな?